【コラム】山本博文のフィリピン・コーヒー考

山本博文氏のフィリピン・コーヒー考

【コラム】山本博文のフィリピン・コーヒー考

フィリピン産のコーヒーを飲んだことがありますか? 実はとっても美味しいんです。
コーヒーというと、ブラジルとかコロンビアとかキリマンジャロ(タンザニア)とかモカ(エチオピア・イエメン)を思い出しますが、フィリピンでもコーヒーがあるのです。しかも美味しい。バギオがあるベンゲット州は、野菜やフルーツの生産地だけでなく、美味しいコーヒーの生産地でもあります。

山本博文の北ルソン・コーヒー探訪より

基本的に、フィリピンでは、小農家の皆さんが育てています。猫の額ほどの土地にコーヒーやら、バナナやら、パパイヤそれにサヨーテとかの野菜類を一緒に植えています。コーヒーは、彼らの収入の一部で、他の作物と合わせて日々の生活費となります。基本的に、コーヒーの木からは1.2キロぐらいのコーヒーの実が収穫されます。それを加工すると200gの生豆になり、それを焙煎すると160gの焙煎豆になり、よく皆さんがコーヒー屋さんで見かける茶色い豆になります。160g。つまり、20杯ぐらいですかね。
一本の木から、たった20杯しかできません。しかも、年1回の収穫。農業は大変です。

ぼくは、そのコーヒー栽培のアドバイスを小農家の皆さんにおこなっています。農家さんと話しながら、さぁどうすれば、もっと美味しいコーヒーができるかなぁと日々考えています。

IMG_5428 - コピーもともとは、小さなコーヒー屋さんで働いていたのですが、徐々に産地への興味が出てきて、いつの間にやらコーヒーの産地で農業に勤しむようになっていました。フィリピンでは、約2年間暮らし、毎日毎日コーヒーのことばかり考えながら過ごしていました。もうほんと毎日。今では、フィリピンとミャンマーと東ティモールのコーヒー事業に関わるようになりました。どこも国柄というものがありとっても楽しいです。でも、変わらないことがあります。それは、コーヒーは農業であり、それに従事する農家さんがいるということです。

ぼくは、農家さんと接しているといつも感じることがあります。それは、コーヒーといえど、結局は人が作っているんだよなぁという、ごくごく当たり前のことです。貧富の差はあれど、僕らと何も変わらない人間が、農業に従事し、それをぼくらは飲んでいるのだなぁと感じるのです。そして、消費者という言葉がどうもしっくりこなくなりました。共同生産者。この言葉がしっくりときます。

コーヒーを飲む僕らも、共同で生産しているんだということです。生産者・消費者ではなく、生産者・共同生産者。うん、こっちのほうがしっくりきます。

まぁせっかくコーヒーの生産国にいるのですから、フィリピンの美味しいコーヒーを飲んでみてはいかがですか?
しかも、コーヒー農園で。バギオから近いところならば、1時間以内に行けます。農園へ行けば、おそらく農家さんからコーヒーをいただけます。フィリピンでは、コーヒーは「おもてなし」なんです。コーヒーを出した時点で、「私はあなたの味方ですよ。」「どうぞゆっくりと私たちの家でくつろいでください。」というおもてなしなんです。

いいじゃないですか。フィリピン流OMOTENASHI。じっくりと味わってください。

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== 山本博文 == 自家焙煎で焙煎技術と抽出技術を習得し、コーヒーの卸し問屋で働くこと数年。栽培に興味がでて会社を辞め、フィリピンでコーヒー栽培の研究をすることに。フィリピン農業省、技術産業省等と組み、フィリピン・コーヒーの品質向上のために様々な産地でワークショップを行う。さらに、コーディリエラ・グリーン・ネットワークと一緒にプロジェクト・サイトにて、品質向上のプロジェクトを行う。また、マニラのスペシャルティコーヒーショップ主催のエアロプレスチャンピオンシップの審査員長をおこなった。 現在は、ミャンマー、フィリピン、東ティモールにてコーヒープロジェクトを専門家として支援している。

フィリピン・コーヒーと山本博文氏

先日2015年7月の2週間余り、山本博文氏がバギオに滞在していました。
山本氏は以前バギオに隣接するラ・トリニダッド市の大学で、2年間に渡りコーヒーについて学んでおり、今回は卒業後のフィリピン訪問となります。
滞在中は、日々コーヒー栽培地を精力的にめぐり、これからの北ルソンのコーヒー栽培に新たな展望を見出されていました。

近年、マニラなどを中心に人気を高めているコーディリエラ地域のコーヒー。
フィリピン国内のバギオ地方への小旅行の際には、革製品、木工芸品などに継ぐ土産品としても有名になっています。日本人にとっても重量が軽くて質の良いフィリピン産コーヒーは知名度こそまだであるものの十分重宝される土産品でしょう。既にコーヒーはこの地域の一名産品としての地位を確立しつつあります。

ですが、コーヒー農場の現状に目を向けてみると、実は品質面で多くの課題があります。多くのこの地域のコーヒーファーマーたちにとって、コーヒーの品質の良し悪しは二の次になっており、出荷量さえ済ませてしまえばそれで構わないという考え方が主流です。
これはファーマー自身の意識に基づくものです。彼らの中に品質に目を向けるものは少なく、栽培できればそれを売りに出すだけです。そこですべてが終了してしまう、それが現状となっています。コーヒー市場において、品質保持、改善が重要視されることを理解していないのかもしれません。

山本氏は農法・製法指導とともに、そんな彼らの意識の改善を目指します。品質を上げると言うのはどういうことなのか、市場とはどういうものなのか、それらが彼らに今後どんなメリットをもたらしていくのか。それらを把握し様々な面を改善すれば彼らの生活自体も変化していくはずです。
ご想像通り、出荷するコーヒーの品質を高めるということは、市場に出る際その分高値で売れる可能性が出てきます。

現段階は、彼らになぜ改善が必要なのか、そこから根気よく説いていく段階と言えるでしょう。(もちろん、一方で山本氏の言うことを理解し実践に移そうとしている意識の高い人たちも現れています。)
収穫時の改善点、収穫物を取り扱う際の注意点、それらのほんの一部を今回の訪問で伝えると、ファーマーたちは最初は戸惑いながらも次第に興味を示していく、あるいは質問を返したりする、そんな姿を見ることができたのですが、道のりは始まったばかりと言った感を受けました。

今がこのレベルだからこそ、改善の余地は多くあり、やりがいもある。また人々は初めての試みを素直に受け入れてくれる、そしてそれは未知数の質の向上を望める、と山本氏。
そんな氏のフィリピンでの次なる取り組みは、収穫期あたりのワークショップになりそうとのこと。

山本氏が今後フィリピン・コーディリエラで、かつ世界各国のコーヒー農場でファーマーたちの意識をどのように変えていくのか、その行く先が楽しみです。

(文章:バギオライフ Iuko)

 

フィリピン・コーヒー
コーヒーの実(青)
山本博文の北ルソン・コーヒー探訪より

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